在宅介護サービスの種類

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「介護保険で受けられるサービス」の在宅介護サービスについて、その種類や内容についてお伝えします。認定された介護度によって利用できるものや利用限度額が異なります。また、自治体によってサービス内容に違いがありますのでご利用の際にはケアマネージャーに確認、相談してください。

訪問系サービス

訪問介護(ホームヘルプ)

要介護1~5の方が対象です。
要支援1、2の方は地域支援事業によって支援してもらえる場合があります。

身体介護(本人の体に触れるサービス)

  • トイレの手伝い
  • 食事の見守り
  • 入浴
  • オムツの取り替え
  • 体位交換

生活援助(日常生活のお手伝いサービス)

  • 洗濯
  • 買い物
  • 薬を取りに行く
  • シーツの交換など

自宅で受けられるサービスなので本人が安心して過ごせる反面、家に他人が入ることを拒む方もいらっしゃいます。

ヘルパーにお願い出来ないこと

換気扇やベランダの掃除、床のワックスがけ、家具の移動、大量のゴミを処分する、庭の掃除や庭木の水やり、草むしり、ペットの世話など。また、お金の引き出しや支払い、手紙の代筆、来客への対応など代理としての行為も出来ません。
ヘルパーは「本人に直接かかわること、本人では行うことが困難、それがなされないと日常生活に支障が生じること」を手伝う決まりですので、頼めばなんでもしてくれる家政婦ではありません。もう少しやってほしい、これもお願いしたいことがあれば自費のサービス利用をお勧めします。ヘルパー事業所では保険外のサービス提供をしている場合が多いので併せて相談してみましょう。

訪問看護

自宅で栄養剤の点滴など医療管理が必要なときに、身体状況の把握だけでなく病状の変化にも対応できるサービスです。利用には医師の「訪問看護指示書」が必要です。本人の状態に合わせ、看護師だけでなく保健師や理学療法士など医療従事者がサービスを提供します。

サービス内容

健康状態を定期的に管理・観察、医療機器の管理や医師の指示に沿った処置、終末期の看護などがあります。これらの内容は医師の指示が必要で、事業者によって出来るサービスが異なりますので必ず確認してください。どんな福祉用具を利用するのがいいか、家族の介護負担についての相談やどんな福祉用具を利用するのが良いかなどの相談も出来ます。

訪問入浴

自宅の風呂が狭くて入浴する(させる)のが難しいときや介助が大変な時に有難いサービスです。定期的に入浴すれば感染予防や血行改善につながり、床ずれの予防にも役立ちますし、家族の介助負担が軽くなるメリットもあります。利用には医師からの入浴許可が必要です。利用時はスタッフ(多くの場合看護師1名介護スタッフ2名)が訪問入浴用の車で訪問し、血圧や体温測定、体調のチェックをしてから入浴します。自宅の浴槽ではなく、組み立て式の浴槽を室内に運び入れて使用することが多く、事前の着替え、入浴介助、入浴後の着替えまで全てスタッフにお任せできます。

訪問リハビリテーション

リハビリが必要でも通院が難しい場合に便利なサービスです。医師から訪問リハビリテーションが必要と認められた方が利用できます。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が担当し、本人に合った日常生活動作や身体機能のリハビリテーションを行います。福祉用具のアドバイスや折り紙などのレクリエーション的なもの、家族の相談なども出来ますので具体的にどんなサービスを受けたらよいかをケアマネージャー、事業者とご相談ください。

居宅療養管理指導

歯が悪いから定期的に診てほしいが通院が難しいといった場合に有難いサービスです。医師や看護師などが定期的に本人宅を訪問、往診、病状や機器の管理をしてくれます。医師・歯科医師が往診、管理するだけでなく、本人に合ったケアプランに沿って薬剤師・管理栄養士等が医師の指示のもとに管理指導を行ったり、歯科衛生士による口腔内管理や看護職員によるケアなどもあります。利用回数が月2回までなので、それ以上に往診が必要な場合は介護保険ではなく医療保険の対象となります。サービス内容やスケジュールなどをケアマネージャーによく相談してからご利用ください。

介護保険タクシー

介護保険を利用した「介護保険タクシー」も訪問介護に含まれます。利用できる場面は、通院、役所の手続き、金融機関での手続き、選挙投票など決まりがあります。自宅から各施設への移動、乗り降りの介助や着替え(寝たきりの方)などのサービスがありますので、何が必要かを事前に確認してケアプランに盛り込んでおかなくてはいけません。

利用条件

要介護1~5、電車やバスに一人で乗れない、ケアマネージャーが必要と判断したうえでタクシーの利用がケアプランに入っていること。

通所系サービス

通所介護(デイサービス)

日帰りで施設に通い、食事や入浴の介護や機能訓練などを受けられるサービスです。他の人と接することは本人への刺激になりますし、利用時間中は家族が自分の時間を作れるようになります。利用は半日なのか1日なのか、入浴を希望するかしないか、やわらか食が必要な方はそれに対応した食事が提供されるか、胃ろうに対応してもらえるかなど、本人にどんなサービスが必要なのかによって施設の選択基準が変わります。デイサービスによって特徴が違いますのでサービス内容を確認して施設を選びましょう。施設の選択や利用はケアマネージャーに相談してください。

通所リハビリテーション(デイケア)

デイサービスと似ていますが、違いは主な目的がリハビリテーションであるところです。デイケアに在籍している医師の指示書に沿って専門家がリハビリテーションを提供します。身体機能の維持やトレーニング、日常生活機能の訓練など、マッサージや温熱療法など行われます。言語聴覚士による言語訓練や食べる(摂食・嚥下)訓練などもあります。施設によって内容が異なりますので利用前によく確認してください。食事や入浴のサービスがある施設もありますが、内容はデイサービスより簡素なところが多いようです。

デイサービスとデイケアを両方利用することも出来ます。ケアマネージャーに相談のうえ、本人が必要とするサービスを選択してください。

短期入所系サービス

利用上限はいずれも連続30日間です。但し、介護する家族の長期入院など、例外が認められるケースもありますので必要な場合はケアマネージャーに相談してください。

短期入所生活介護(ショートステイ)

短期的に施設へ入り、日常生活や機能訓練などの介護を受けながら施設で生活できるサービスです。 介護している家族が入院や検査などで介護出来ない時、冠婚葬祭で出かけなくてはならない時などはもちろん、介護から離れてリフレッシュしたい時にも利用できます。食事、入浴、排泄などの介護はもちろん、レクリエーションや健康チェックもあるので本人も家族も安心です。1~2ヶ月前の予約が必要なので急な利用は出来ません。また、人気のある施設は希望者が多くなかなか利用できないことがあります。

短期入所療養介護(ショートステイ)

同じショートステイですが、医学的な管理の中で日常生活や機能訓練などを受けながら生活できるサービスです。特別な医学的処置をを必要とする方、定期的に検査・状態把握を必要とする方が利用できます。生活介護のショートステイに比べて1日につき数百円程度自己負担が高くなりますが、医師や看護師の配置がしっかりしています。こちらの利用も1~2ヶ月前の予約が必要ですし、希望者が多い施設はなかなか空きがありません。

居住系サービス

特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホームなど)

自宅ではなく介護保険の指定を受けた、介護付き有料老人ホーム、軽費老人ホーム、養護老人ホームなどで暮らしながら、介護認定を受けた人が利用出来るサービスです。ケアプランに基づいて排せつや入浴、食事などの日常の介護サービスが受けられます。公的な介護施設ではないので介護認定がなくても入居でき、その後介護が必要になった時に自宅と同じように在宅介護サービスを受けられるものです。中には医療的な介護が必要になると退去しなくてはならないホームもありますので、入居の際によく確認する必要があります。

住環境の改善

福祉用具貸与(レンタル)

必要な福祉用具のレンタル費用の負担額を軽減してくれるサービスで、自立の補助や自宅での介護負担が軽減されます。費用の自己負担は1割ですが、一定以上所得者は2割になります。介護ベッドや車いすなど高額なものは購入するより経済的負担も軽くなります。認定された介護度によってレンタルの可能品目が変わりますのでケアマネージャーに確認してください。例えば、母と私の住所地では介護用ベッドが1ヶ月1,000円程度で借りられますが、要介護1以下なら自費になります。その他にもありますし、前述の通り介護度によって利用できないものもありますので必ず確認してください。

レンタル用品の例

手すり、スロープ、移動用リフトなどで取り付け工事不要のもの、歩行器、杖、徘徊感知センサー、車いすとその付属品、床ずれ防止用具、介護ベッドとその付属品などです。

福祉用具販売

自宅の介護負担を軽減するため、必要な福祉用具の購入費を年間10万円まで支給してくれるサービスです。特定福祉用具と定められたものを購入後に申請をすると介護保険が支給されます。指定された事業所で購入すること、その費用をいったん全額支払い後に申請書と領収書を添えて届け出ると、審査後に自己負担分を除いた額が支給される仕組みです。好きなお店で好きなものを買っても対象になりませんのでご注意ください。最近はそれぞれの用具が種類やデザインが豊富、金額にも幅がありますのでケアマネージャーに相談、カタログなどで用具を選択してから購入することをお勧めします。

特定福祉用具の例

腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部品、入浴補助用具(入浴用イス、浴槽内イス、浴槽用手すり、すのこなど)、移動用リフトのつり具などです。

住宅改修

廊下に手すりを設置したり、玄関の段差を解消するなど介護に適した住宅改修にも介護保険が適用されます。また、内容によっては複数回に分けて工事を行うことが可能ですので事前に確認してください。また、工事後に転居した場合と要介護認定が3段階以上上がった場合はもう一度このサービスを受けることが出来ます。市区町村によっては独自の住宅改修補助サービスがありますのでケアマネージャーに相談してみましょう。

条件など

本人住所の居宅のみ、利用は一度だけです。
金額上限は工事費用最高20万円までですが、工事にかかった費用の9割(最高18万円、一定所得以上は8割の最高16万円)が申請後に支給されます。

地域密着型サービス(※印は介護サービスのみ)

これらは、介護が必要になっても住み慣れた地域で生活できるように支援する事を目的としたサービスです。原則としてお住いの市区町村内の施設を利用します。

夜間対応型訪問介護(※)

夜間(19時~22時くらい)に自宅を定期的に訪問し、おむつの交換やトイレの介助などをしてくれるサービスです。自宅にケアコールを設置して怪我や様態の変化などの緊急時にも訪問してもらうことも出来ます。市区町村によっては要支援の方も利用可能ですのでケアマネージャーに相談してください。

サービス内容

オムツ交換、トイレの介助などを定期的に訪問して約30分程度の介助や介護です。また、転倒や体調不安などによるケアコールへの対応や緊急時の連絡に応じて訪問したり医療機関へ連携するサービスもあります。

認知症対応型通所介護

認知症に対応した介護や機能訓練をすることのできるデイサービスです。「認知症対応型デイサービス」、「認知症デイ」とも呼ばれ、少人数制なので手厚いサービス受けることができます。施設によっては医師の診断書が必要になりますのでケアマネージャーに相談してください。

小規模多機能型居宅介護

小規模な居住系サービスの施設で、「通い」を中心としながら訪問、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問」を組み合わせたサービスです。家庭的な環境と地域住民との交流の下で食事、入浴、排泄などの介護、日常生活の支援、機能訓練等が受けられます。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

軽度~中度認知症の要介護者が対象です。介護スタッフと共に10人未満の少人数で共同生活を行いながら、食事、入浴、排泄などの日常生活の支援や機能訓練を受けます。認知症の緩和と、住み慣れた地域で生活できるように支援することを目的としています。

地域密着型特定施設入居者生活介護
(介護付小規模有料老人ホームなど)(※)

入居定員が29人以下の介護付有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などに入居している利用者が、入浴・排せつ・食事等の介護、その他必要な日常生活上の支援サービスを受けられます。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
(小規模特別養護老人ホーム)(※)

定員が29人以下の特別養護老人ホームに入所している利用者が、入浴・排せつ・食事等の介護などの日常生活上の世話、機能訓練などのサービスを受けられます。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護(※)

一日複数回の「短時間の定期巡回訪問」と、本人からの通報に対応し、訪問を行う「随時訪問・随時対応」とを組み合わせたサービスです。「必要なタイミング」で「必要な量と内容」のケアを提供することができる地域密着型のサービスです。本人の状態に合わせて24時間365日対応してもらえるばかりか、利用料が定額なので1ヶ月に何回利用しても料金が上がりません。あまり利用しない方には割高なサービスになることがあります。

複合型サービス(※)

通所介護を中心に、必要に応じてショートステイや訪問介護、訪問看護も受けることができる一体型のサービスです。複数のサービスを受ける場合でも契約する事業所は一つで済みますし、主治医と連携を取りながら医療的な介護サービスも含めて24時間365日対応してもらえます。医療的な対応が必要な方にとって有難いサービスですが、全国的にまだ広がっていないため市区町村によっては実施されていません。また、一体型サービスのため、これまでお世話になったケアマネージャーからこのサービス事業者のケアマネージャーに担当が変わります。

在宅介護サービスは自宅で介護するためのサービスです。本人の自立支援や生活の質を高めるだけでなく、介護する家族の負担を軽減する目的もあります。要介護度によって利用できるサービスの内容や量に違いはありますが、ケアマネージャーとよく相談し、本人と家族が少しでも快適に暮らせるように利用したいものです。