暮らしやすい工夫 服と家

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家の改修や福祉用具の利用すれば、本人(親)が暮らしやすくなり、家族の介護も少し楽になることがあります。また、衣服の工夫も暮らしやすさを改善してくれます。ここでは「家の改修」「福祉用具」「衣服」についてお伝えします。

家の改修

どんな改修が必要かを考えましょう

改修はどこでも何でもすればいい、というわけではありません。高齢者は「変化」が苦手です。慣れない手すりを使いにくいと感じたり、見覚えのない用具に戸惑ったりすることもあります。本人の症状をよく観察し「何が必要なのか」を考えてほしいです。

介護のための改修工事費用の助成があります

工事内容や金額に制限はありますが、改修を考えたら是非利用してください。改修工事の内容や限度額はケアマネージャーに必ず確認してください。

助成の利用方法

工事費上限1回20万円(自己負担1割)、あらかじめ自費で工事をしてから領収書を添えて申請すると、後日9割分が返還されます。基本的には「改修は1回」ですが、要介護度が3段階以上上がるともう一度助成してもらえます。引っ越しした場合も受けられます。ケアマネージャーや地域包括支援センターに確認してください。

主な改修の対象項目

手すりの取り付け
部屋の中、廊下、玄関など。歩行補助や転倒予防のため
段差の解消
和室の上がり、玄関など。「通路などの傾斜解消」という対象項目がありますので傾斜がある場合は相談してください。
すべり止め
浴室の床、部屋の床材を変更する。
扉の変更
引き戸やアコーディオンカーテンに取り替える。車いすの方には特に有効的です。「扉の撤去」も対象です。
便器の取り替え
和式便器から洋式便器へ。洗浄や暖房機能の付いた便座への取り替えも出来ます。

これらの改修に伴う必要な工事(柱や壁の補強などや給水設備など)も助成対象です。

助成対象外の改修について

照照明を明るくする、足元灯をつける、風呂場が冷えないように浴室暖房にする、押入れをトイレにリフォームするなど、暮らしやすくなる改修はたくさんあります。リフォーム業者だけでなく住宅メーカー、家電メーカーなどのホームページをご覧ください。参考になることが見つかると思います。

福祉用具

家の改修に比べて導入しやすいのが福祉用具です。その人に必要なものを必要な時に利用できます。例えば排泄に関しては、出来るだけ自分でしたい、なるべくお世話になりたくないと思うのは誰しも同じです。一人でトイレに行けるが便座からの立ち上がりが難しいなら手すりを付け、トイレへの移動が難しいならポータブルトイレを利用するなど、段階的に導入することも可能です。本人の自立を妨げず、家族も無理なく介助が出来ます。家族の視点だけで選ばずに「どうしたら本人(親)が独力で出来るかな」と考えながらケアマネージャーと相談してください。

今、何に困っているのかを考えましょう

車いすが必要な方もいれば必要でない方もいます。「本人(親)にいま何が必要なのか」を考え、ケアマネージャーに相談してください。福祉用具の会社を紹介してもらえます。そこには福祉用具専門相談員という方がいて、相談すれば適した用具を教えてくれるはずです。福祉用具がたくさんあれば暮らしやすくなるわけではありません。見慣れないものに囲まれて不安になる方もいます。用具はあくまでも生活や動作の補助であることを忘れずに利用したいものです。

用具によっては助成の対象になります

用具によってはレンタルや購入の費用を介護保険で助成してもらえます。限度額年間10万円(自己負担1割)です。ベッドはレンタル出来ますがポータブルトイレは購入に限られるなど、用具によって制限が異なります。

用具の例

  • 車いす
  • 車いすの付属品(クッションやテーブルなど)
  • 介護ベッド(角度や高さが変わる)
  • 介護ベッドの付属品
    (サイドレールやマットレスなど)
  • 床ずれ予防用具
  • トイレ用手すり
  • ポータブルトイレ
  • 手すりやスロープ(工事不要なもの)
  • 歩行器
  • 徘徊感知センサー
  • リフト(浴室や居室のリフトや階段用リフト)

福祉用具の会社にはカタログが用意されていて、介護に便利な食器や衣服などが豊富に載っています。助成対象でなくてもお値段が手ごろなものもありますので是非ご覧ください。

衣服

介護用品というと車いすや杖、オムツなどを思い浮かべる方が多く、暮らしやすい工夫というと手すりを付けたり段差を解消する家の改修をイメージする方が多いようです。
「衣食住」の「衣」は身近すぎるのでしょうか。
高齢になると身体の動きが緩慢になり、簡単な動作でも難しく感じ、億劫になるものです。着替えが面倒でパジャマのまま過ごせば、外出がとても面倒になります。着替えをしないと衛生的にも良くありません。洗いにくいものや乾きにくいものは洗濯が面倒になり、アイロンやクリーニングが必要なものは着なくなります。自分の力で生活する「自立」のために欠かせないのが「衣服」です。要介護度が上がった時は着替えさせやすい衣服を選び、介護生活を少しでも楽にしたいものです。衣服の選定は本人の自立を助け、介護の負担を軽くするためにも大切なものです。

今あるものを整理する

親がどんな下着を使っているかご存知でしょうか。パンツでも色々な種類がありますね。親の好みを知ることは介護のスタートです。
家族が「これを着なさい」と言っても本人にはお気に入りがあります。気持ちが落ち着く部屋着もありますし、ほとんど着ていないものも増えているはずです。その整理から始めましょう。このとき「捨てる」はNGワードです。着るものを取り出しやすい引き出しに入れ、着ていないものを高い所や奥に収納するだけでよいと思います。夏でも厚手のものを着ている高齢者を見かけます。基礎代謝の低下や血行が悪くなるなどの理由はありますが高齢になると冷えを感じやすくなるのです。楽に羽織れるものが手近にあると便利です。

そろそろ介護かなと思ってから購入するなら

冷えを感じて寒がるので、軽いものや薄いものを重ね着して温度調節できるのが便利です。重い服は疲れますし、厚手すぎると動きにくくなります。

衣類選びのポイント

ボタン
小さなボタンは留めずらく、ボタンの数が多いと大変です。
認知症の方に飾りボタンは混乱のもとです。ボタンよりスナップやマジックテープのほうが着やすい場合もあります。ズボンのボタンやファスナーは上げ下ろしが大変になるのでトイレで間に合わなくなることがあります。
ズボンなど
ウエストはゴムタイプがお勧めです。股ぐりがゆったりしていれば安心パンツやオムツを使用するようになってからも着られます。
上着など
アームホール(腕回り)が大きめのものは腕の上げ下ろしが楽になります。伸縮性のある生地が着やすいです。極端な例えですがスーツよりカーデガンです。かぶるタイプの服はボタンが無くて着やすいですが、首回りがきついとニットでもかぶりにくくなります。
下着
下着選びも大切です。高齢者は皮膚疾患も増えますので、肌に直接触れる下着の素材は化繊を避けたほうがいいでしょう。冷えを感じやすいので夏でもズボン下を履く方が多いようです。
靴下
靴下はゴムのゆるいものを。むくみやうっ血への配慮も必要です。歩行がふらつくようになるとスリッパは危険ですが普通の靴下では滑りやすい。その時には滑り止めが付いたタイプの靴下が便利です。つまづき防止に爪先が上がりやすい機能的な靴下もあります。

家族が着替えを介助するなら

本人がどの程度着替えられるかで異なります。
袖を通したりボタンを留めるのを手伝う程度なら好きなものを着てご機嫌に過ごしてほしいです。
自分で着替えが出来なくなったら、家族の介助しやすさを考えましょう。身体を拭くことを考えると前開きが便利です。マジックテープのものは介助しやすく、本人にとってはボタンが当たらず痛くなりにくいメリットがあります。浴衣タイプの寝間着は介助しやすいですが、はだけやすく、ヒモが危険になることがあります。自分で脱いだりオムツを取り外してしまう方には上下が繋がったツナギ服が便利です。

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